不動産登記において「建物」として認定されるためには、いくつかの要件を満たす必要があります。その要件として、一般的に以下の3つが挙げられます。
- 外気分断性
- 用途性
- 土地定着性
これらの要件を満たすことで、建物として認定され、登記することが可能になります。それぞれの要件と登記との関係について詳しく説明します。
1. 外気分断性(がいきぶんだんせい)
外気分断性とは、建物が外部の空気や風雨から遮断されている状態、つまり「内部空間」が存在することを意味します。建物は、雨風や外気を遮断し、内部に人が住んだり、物を保管したりできる状態である必要があります。
具体例:
- 住宅や倉庫は明らかに外気を遮断し、内部空間を形成しているため、外気分断性を有しています。
- 一方で、屋根のない構造物や、風通しの良い物置などは外気分断性がないため、建物とみなされないことがあります。
登記との関係:
外気分断性が認められない場合、その構造物は「建物」として登記することができません。例えば、単なる物置や屋根付きの駐車場などは、外気分断性がないため、建物登記の対象にならない場合があります。
2. 用途性(ようとせい)
用途性とは、建物が一定の用途(居住、営業、保管など)に利用されるために設計・建設されているかどうかを指します。用途性が認められるためには、建物が実際にその目的に使用できる状態であることが必要です。
具体例:
- 住宅:居住目的で使用できるように構造や設備が整っている。
- 店舗や工場:営業活動や生産活動ができるような構造になっている。
- 倉庫:物品の保管を目的として設計されている。
もし建物がこれらの用途に使用できる構造を備えていなければ、用途性が認められず、登記上も「建物」として認定されません。
登記との関係:
用途性が満たされていない場合、建物の登記はできません。例えば、建物が人や物の居住・保管に適さない場合は、その構造物が建物として認定されず、登記することができません。
3. 土地定着性(とちていちゃくせい)
土地定着性とは、建物が土地に恒久的に定着しているかどうかを意味します。建物は、簡単に移動可能なものであってはならず、土地にしっかりと定着している状態である必要があります。これは、土地と建物の一体性を確保し、法的安定性を保つための要件です。
具体例:
- 住宅やビルは、基礎がしっかりと土地に根付いており、恒久的にその場所に存在することを前提としているため、土地定着性があるとみなされます。
- 一方で、仮設のプレハブ小屋や移動式トレーラーハウスなどは、容易に移動できるため、土地定着性がないと判断される場合があります。
登記との関係:
土地定着性が認められない場合、その構造物は「建物」として登記できません。例えば、トレーラーハウスのように、車輪付きで移動可能なものは、土地に定着していないとみなされるため、建物登記の対象にはなりません。
まとめ:3要件と登記の関係
- 外気分断性:建物が外部の天候や空気から内部空間を遮断しているかどうか。これがなければ建物として認められない。
- 用途性:建物が特定の目的(居住、営業、保管など)に使用できる構造を持っているかどうか。用途がなければ登記はできない。
- 土地定着性:建物が土地に恒久的に定着しているかどうか。定着していないもの(仮設や移動可能なもの)は登記対象外となる。
これらの要件をすべて満たして初めて、不動産登記の対象となり、法務局に「建物登記」として登記できることになります。これにより、所有権の保護や売買、抵当権の設定などが可能となり、法的効力を持つことができるのです。
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