不動産登記には公信力はないので対抗力をつける

公信力とは

 公信力とは、登記簿に記載された内容が、第三者に対してその内容を信頼してよいという法的な効力を意味します。つまり、登記簿に基づいて取引を行った第三者が、たとえその登記内容が実際には誤りであったとしても、その登記を信頼した取引が保護されるという力です。

日本における登記の公信力

 日本の不動産登記制度では、「公信力」は基本的に認められていません。つまり、登記簿に記載されている内容が誤っていても、必ずしもその記載を信頼した第三者が保護されるわけではない、ということです。

 具体的には、例えば不動産の所有権が本来の所有者でない者に誤って登記されていた場合、その不正確な登記に基づいて取引を行った第三者は、所有権を取得することができません(民法94条・177条など)。この点で、日本の登記制度は「登記の対抗力」を重視していますが、公信力を認めていません。

公信力のない理由

日本の法制度では、登記は権利の発生や移転に直接関与せず、あくまで「対抗要件」(第三者に対して自分の権利を主張するための要件)にすぎないとされています。したがって、登記に誤りがある場合、登記を信頼して取引を行った者でも、その取引が保護されない場合があるのです。

対抗力とは

 対抗力とは、ある権利関係が登記されていることによって、第三者に対してその権利を主張できる効力を指します。つまり、登記をすることで、その権利関係を第三者に対しても「対抗」(主張)できるようになるという意味です。

登記と対抗力

 日本の不動産取引において、登記には所有権などの権利を第三者に対して対抗するための機能があります。たとえば、AさんがBさんに不動産を売却し、登記を完了した場合、その不動産に関するAさんの権利は第三者に対しても対抗できるものとされます。これにより、Bさんの権利は保護されるわけです。

 逆に、Bさんが所有権を取得しても、登記を行わなければ、第三者に対してその所有権を主張できない可能性があります。たとえば、Bさんが登記をしていない間に、Aさんが別のCさんに同じ不動産を売却して、Cさんが登記を先に行った場合、Cさんの権利が優先されることがあります(不動産登記法・民法177条)。

登記が対抗要件となる理由

 日本の法制度では、物権(所有権などの権利)は原則として、当事者間で合意が成立すれば移転します。しかし、第三者に対してその権利を主張するためには、登記が必要です。これが「対抗要件」と呼ばれるもので、登記をすることによってのみ、その権利が第三者に対して有効になるのです。

 したがって、登記をしなければ、たとえ権利を持っていたとしても、それを他人に主張することができないというリスクが生じます。これが、対抗力を持つために登記が重要である理由です。

例: 所有権の移転と対抗力

  1. 売買契約の成立: AさんがBさんに不動産を売却し、売買契約が成立します。この時点で、所有権は当事者間では移転しています。
  2. 登記の有無: しかし、登記を行わない限り、第三者に対してその所有権を主張することはできません。
  3. 第三者が現れる場合: もしAさんがCさんにも同じ不動産を売却し、Cさんが先に登記を済ませた場合、Cさんがその不動産の所有者として認められる可能性が高いです。Bさんは登記をしていないため、Cさんに対して所有権を主張できません。

登記の対抗力とリスク

 登記を怠ると、所有権やその他の権利を第三者に主張できないリスクが生じます。特に、不動産取引では登記が非常に重要な要素となるため、権利を確実に主張したい場合には、速やかに登記を行うことが求められます。


 

まとめ

 なぜ不動産の売買時や建物新築時、相続時などにおいて、登記をしなければならないか分かったと思います。
 日本の不動産登記制度における登記は、権利を第三者に対して対抗できるようにするための重要な手段です。登記がなければ、第三者に対して権利を主張することができず、権利を失う可能性もあるため、対抗力を持たせるためには登記が必要不可欠です。登記に関して分からないことがある場合は、ぜひ当事務所にご相談下さい。

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