エンディングノートについてと作り方
エンディングノートとは、人生の最終段階に向けて自分の希望や意思、重要な情報を記録しておくためのノートです。自分の死後に家族や友人に負担をかけないために、あるいは自身の希望が確実に実行されるように、あらかじめ整理しておくことを目的としています。法的拘束力はありませんが、家族や遺族が判断に迷ったり、負担を感じたりする場面を減らすために大いに役立ちます。
エンディングノートの作り方は、特別な形式やルールに従う必要はなく、自由に自分の意思や情報を書き込むことができます。基本的な構成や書き方については、以下の手順に沿って進めると良いでしょう。
1. エンディングノートの準備
エンディングノートには、市販の専用のノートを使うことも、手書きやパソコンで作成することも可能です。専用のエンディングノートには必要事項があらかじめリスト化されているため、スムーズに記入できるメリットがありますが、シンプルなノートや自作の文書でも問題ありません。
- 市販のノート:本屋やネットショップで「エンディングノート」と検索すると多くの種類が販売されています。
- 自分で作成:WordやExcelを使って、自分で書きたい項目をまとめて作成してもOK。
2. 記入する内容の整理
エンディングノートには、自分の希望や意思をまとめるためのさまざまな項目があります。以下は一般的な記入項目の例です。すべてを埋める必要はなく、自分に必要だと思う部分を選んで書くと良いでしょう。
① 自分に関する基本情報
- 氏名、住所、電話番号
- 生年月日、血液型、健康保険証や運転免許証の情報
- 戸籍の場所、マイナンバー
② 医療や介護についての希望
- 延命治療を望むかどうか
- 尊厳死を希望するか
- 臓器提供の意思
- 誰に医療や介護の意思決定を任せるか
③ 葬儀や埋葬についての希望
- 葬儀の形式(宗教、無宗教、家族葬、友人への通知の範囲など)
- 葬儀場所や祭壇のデザイン、音楽の希望
- 遺骨の扱い(お墓、納骨堂、散骨など)
- 遺影の写真や遺品の整理に関する要望
④ 財産や相続に関する情報
- 銀行口座や証券、保険の情報
- 不動産や所有している財産(自動車、貴金属、骨董品など)の一覧
- クレジットカード、ローン、税金の情報
- 遺言書の有無と保管場所
⑤ デジタル遺品の情報
- SNSのアカウント情報やパスワード
- メールアドレス、クラウドサービスの利用状況
- スマホやパソコンのパスワード、重要なファイルの保存場所
⑥ 家族や友人へのメッセージ
- 感謝や謝罪など、遺族に伝えたいメッセージ
- 自分の人生に関する思い出や、後世に伝えたい言葉
3. 記入方法のポイント
- 簡潔に:細かい詳細にこだわりすぎず、シンプルに自分の意思を表現するのがコツです。
- 柔軟に:時間が経つにつれて状況や希望が変わることもあります。定期的に見直しをして、必要に応じて修正しましょう。
- 家族や信頼できる人に伝える:エンディングノートを誰にも伝えずにしまっておくと、いざというときに誰も気づかない可能性があります。信頼できる家族や友人に、ノートの存在や保管場所を知らせておくことが大切です。
4. エンディングノートの保管場所
エンディングノートは、簡単にアクセスできる場所に保管しましょう。安全を重視しすぎて見つからなくなると意味がありません。自宅の目立たない引き出し、家族が知っている場所に保管するのが理想的です。
また、内容が他の人にとって重要な情報(銀行口座やパスワードなど)を含む場合、悪用されないように配慮が必要です。金庫に保管する、またはパスワード保護されたデジタルファイルとして保管することも一つの方法です。
5. 定期的に見直す
エンディングノートは、一度書いたら終わりではなく、人生の状況に応じて見直すことが大切です。例えば、結婚や子供の誕生、引っ越し、仕事の変化などがあった際には、内容を更新しておくと良いでしょう。遺産分割や医療に関する希望が変わった場合も、すぐに反映させることが重要です。
エンディングノートの役割
エンディングノートの主な目的は、自分の最期に向けた意思表示や準備を整理することです。これにより、遺された家族が進めるべき手続きをスムーズに行うことができ、感情的な負担も軽減されます。また、自分の考えや希望がしっかりと伝わることで、無念が残らないようにすることも可能です。
エンディングノートの注意点
- 法的拘束力がない
- エンディングノートには遺言書のような法的拘束力がないため、相続に関する正式な意思表示は遺言書で行う必要があります。
- 定期的な更新が必要
- 住所や家族の状況、財産状況は変わることがあるため、エンディングノートも定期的に見直し、更新することが大切です。
- 家族と共有することが重要
- ノートの内容を家族や信頼できる人に伝えておくことで、いざというときにスムーズに対応できるようになります。
エンディングノートはどういう人が書くの?
1. 家族や大切な人に負担をかけたくない人
自分が亡くなった後の手続きや葬儀、財産の整理などは、遺された家族にとって大きな負担になります。エンディングノートを書くことで、これらの手続きがスムーズに進むように準備でき、家族の負担を軽減できます。特に、遺族が自分の希望を知らずに困惑する場面を避けたいと考えている人にとって、エンディングノートは重要です。
2. 延命治療や葬儀の希望がある人
自分がどのような医療を受けたいか、延命治療を望むかどうか、また葬儀の形式や埋葬の方法について明確な希望がある人は、その意思をエンディングノートに記録しておくことが重要です。延命治療の判断や葬儀の形式について家族が迷ったり、対立したりすることを防ぐためにも、具体的な希望を残しておくことが有効です。
3. 独身の人や子供がいない人
配偶者や子供がいない場合、亡くなった後の手続きや財産の整理を親族や友人が行うことになります。特に、親しい親族が少ない場合や、信頼できる友人や第三者に手続きを依頼したい場合、エンディングノートにその旨を記載しておくことが重要です。また、病気や事故で判断ができなくなったときに、誰に介護や医療の決定を任せるかといった希望も明確にしておくと良いでしょう。
4. 複雑な財産管理をしている人
複数の銀行口座、投資、保険、不動産など、多くの資産や財産を所有している人は、その管理が遺族にとって非常に困難になる場合があります。エンディングノートにこれらの情報を整理して書いておくことで、相続手続きがスムーズに進み、トラブルの発生を防ぐことができます。また、デジタル資産(SNSアカウントやオンラインサービスの契約など)も含めて情報を記載しておくと、遺族が混乱しないようにできます。
5. 家族や親族との関係が複雑な人
家族や親族との関係が複雑な場合、自分の希望をあらかじめ明確に伝えておくことが重要です。たとえば、特定の家族には知られたくないことがあったり、財産を分配したくない相手がいる場合、エンディングノートにその意向を書いておくことで、トラブルを防ぐことができます。また、自分の意思を尊重してもらうための一つの手段としても活用できます。
6. 急な病気や事故に備えたい人
いつ何が起こるか分からないため、健康な人でも突然の病気や事故に備えておくことは大切です。特に、まだ若い人でも、突然の事故や病気で判断力を失ったり、命を落とす可能性はゼロではありません。エンディングノートを書いておくことで、もしもの時に備えた準備ができ、家族に大きな助けを与えることができます。
7. メッセージを残したい人
自分の思いを家族や友人に伝えたいと考えている人にとって、エンディングノートは良い方法です。日ごろ伝えられない感謝の言葉や、最後にどうしても伝えたいメッセージを記録することで、自分の気持ちを遺族にしっかりと伝えることができます。感謝や愛情、謝罪など、最後に伝えたい言葉を整理することができるので、心の整理にもなります。
まとめ
エンディングノートは、家族構成や財産状況にかかわらず、多くの人にとって有益なものです。特に、自分の意思を尊重してもらいたい人や、家族に負担をかけたくないと考える人にとっては、大きな安心感をもたらす手段となります。
エンディングノートの作成は、自分の人生の最終段階を計画し、家族や大切な人に対する思いやりを示す行動です。大切なのは、自分の意思を整理し、明確に伝えることです。特別な知識や手続きは必要ありませんので、まずは気軽に始め、少しずつ内容を充実させていくと良いでしょう。
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