現況測量と確定測量の違い

長崎県諫早市の土地家屋調査士の尾上健太です。

 今回は現況測量と確定測量について書いていきます。この2つは、不動産の売買の時に①公簿売買②現況測量③確定測量の欄があり、ここで重要になってくるため、公簿売買についても書いていこうと思います。

現況測量(げんきょうそくりょう)

 現況測量は、現在の土地の状態を把握するために行う測量です。主に土地の形状や地形、境界の目視確認を目的とし、土地に関する大まかな情報を取得します。

  • 目的: 現在の土地の利用状況や地形を確認すること。
  • 測量の範囲: 建物や地形、境界標などの位置を測定し、土地の輪郭や使用状況を把握します。
  • 法的な効力: 基本的には土地の正確な境界を確定するためのものではなく、目視や現況の状態を基にした大まかな測定です。そのため、法的効力は弱いです。
  • 使用場面: 土地を売買する際の参考や、建築計画を立てるための初期データとして使われることが多いです。

確定測量(かくていそくりょう)

 確定測量は、土地の境界を正確に確定するために行われる測量です。隣接地の所有者との立ち合いや確認を行い、公式に土地の境界を確定させるため、法的な効力があります。

  • 目的: 土地の正確な境界を確定し、隣接する土地の所有者との合意を得ること。
  • 測量の範囲: 隣接地の所有者と立ち会いのもと、境界を確認し、その位置を法的に確定させるために行われます。境界標(杭など)を設置することも一般的です。
  • 法的な効力: 境界が法的に確定するため、土地の売買や分筆(土地を分ける)など、登記の際に必須の手続きとして用いられます。
  • 使用場面: 土地の売買、土地の分筆、土地の境界が不明な場合など、公式に土地の境界を確定する必要がある場合に行われます。

主な違い

  • 目的:
    • 現況測量は、土地の現在の状態や形状を確認するための測量。
    • 確定測量は、土地の境界を法的に確定するための測量。
  • 法的効力:
    • 現況測量には法的な効力がなく、あくまで現状の把握が主な目的。
    • 確定測量は、隣地所有者との合意に基づいて境界を確定させ、法的効力を持つ。
  • 使用される場面:
    • 現況測量は土地の売買や建築計画の初期段階で行われることが多い。
    • 確定測量は、土地の売買や分筆、登記に際して境界を明確にするために必須の手続き。

公簿売買とは

 公簿売買とは、法務局に備え付けられている土地登記事項情報(登記簿)による地積を対象面積として売買する契約です。公簿売買に関する重要事項は、売買契約書や重要事項説明書に明記されます。

公簿売買の注意点としては、次のようなものがあります。

 登記簿面積と実際の面積に誤差があった場合でも、売主・買主が公簿売買を承諾し、重要事項説明書や契約書に記載してある場合は、売買代金の精算の必要はない。

 登記簿上の土地面積と実際の土地の面積に大きな誤差がある可能性がある。登記記録より土地が狭かった場合は買主が損をし、逆に登記記録より面積が広かった場合は売主が損をする可能性がある。

メリット

  1. 信頼性の高い情報
    • 登記簿や公的記録に基づいているため、物件の権利状況や所有者の情報が明確で、取引の信頼性が高いです。
  2. 権利関係の確認が容易
    • 不動産の権利関係(抵当権、借地権など)が公的に確認できるため、トラブルを未然に防ぐことができます。
  3. 手続きがスムーズ
    • 法的な書類や記録が整備されているため、取引手続きが比較的スムーズに進むことが多いです。
  4. 価格の透明性
    • 市場の相場や過去の取引価格が公表されているため、適正価格での取引が行いやすいです。
  5. 資産価値の維持
    • 公簿売買を通じての透明性は、将来の資産価値の維持や向上に寄与することがあります。

デメリット

  1. 公的情報の限界
    • 登記情報は、最新の状態を反映しているとは限らず、手続きの遅れによって不正確な情報が記載されていることもあります。よって、現況測量や確定測量をします。
  2. プライバシーの問題
    • 公的な情報は誰でも確認できるため、所有者のプライバシーが損なわれる可能性があります。
  3. 手続きの複雑さ
    • 登記手続きや公的書類の取得には時間と労力がかかることがあります。特に、初めての人にとっては難解な部分もあります。
  4. 権利の不確実性
    • 表面的には権利が明確であっても、隠れた権利関係(例えば、地役権など)が存在する場合があり、これが後のトラブルの原因となることがあります。
  5. 不動産の価値変動
    • 市場の状況によっては、売買契約後に不動産の価値が変動するリスクがあり、思ったような利益が得られないことがあります。

まとめ

 現況測量は土地の大まかな状態を把握するための測量であり、確定測量は土地の境界を法的に確定するための測量です。

 土地の境界でお困りの場合はもちろんのこと、当事務所代表は宅地建物取引士の資格も登録済で専門的知識もあります。不動産の処分や空き家についても、他の複数の不動産業者と相談しながら進めていくことができますので、お困りの方は、お気軽にご相談下さい。

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